someone’s note

2022年5月29日

本日はご来場いただきありがとうございます。
最近、昨日思っていたことを正確には思い出せなくなりました。ぼんやりとした感覚として覚えているのですが、その時の感情や言葉などはあまり思い出せません。思い出せないことはダメなことだと若い頃は考えていたのですが、年齢とともに、そのようなものだと考えるようになりました。
自分の考えていることを正確に記憶できないのに、他人のことは相変わらず気になって、観察したり想像したり、忙しいです。他人のことなので、なにもわからなくて理解できないことは、わかっています。でも、なにかヒントがあるのかなと思ってしまいます。おっと。ヒントとか言っている時点で、正解があるように思っている自分がいますね。こりゃだめだ。
「大切なことは忘れない」と、したり顔で言う人がいます。その通りなのだと思いますが、大切なことが何かがはっきりとしない自分は、忘れなかったことが大切なことなのだと、逆に考えることしかできません。これもだめですね。
いま、コーヒーを飲みながら、あらためて昨日考えたことを思い出してみます。だいたい思い出してきました。では、おとといは? 昨日考えたことと同じようなことを考えていたのかもしれませんが、ぜんぜん思い出せません。そんなものです。
いま、コーヒーを飲みながら、美味しいなあ、暑くなってきたなあ、お腹減ってきたなあと、社会性のかけらもなく幸せだと感じる自分がいます。仕事の締め切りのこと、戦争のこと、近隣の揉め事、社会の仕組み、不公平なこと、ゆるせないこと、他人のこと……、この世界に考えるべきだろう問題はたくさんあるのに、わたしはここで美味しいコーヒーを飲んでいる。そして幸せだと感じる。結局それって考えるべき問題なのか? というようなことを考えるのですが、明日になれば、はっきりと思い出せないでしょう。
なので、できるだけメモをとるようにしています。ほぼ見返すことのないメモですが、少し思い出すきっかけになるように思います。そんなメモ(note)が今回の作品になりました。俳優の息遣いを感じて、またメモしようと思います。
(当日パンフレットより)


公演日

2022年5月29日

会場

caféしずく

脚本

橋本純司

演出

橋本純司

出演

角谷明子
ジョージ
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